むし歯治療について
むし歯は自然に治りますか?放置するとどうなりますか?
残念ながら、自然に治癒することはありません。
歯の表面にできた、ごく初期の段階のむし歯(表目が白くなった程度)に『フッ素』を作用させて、再石灰化する場合もまれにありますが、そのようなケースなら、治療せずに経過観察でも十分な場合が多いです。
当院では、年齢や、その方のむし歯のリスク、食生活や飲み物、むし歯のできた部位や進行度、症状の有無によって総合的に診断の上、治療をするかどうかを判断しています。
また、ある程度進行したむし歯を放置した場合、必ず進行すると思ってください。ただし進行するスピードには個人差がありますので、どの段階で治療に移行するかは、やはり総合的に診断した上で決定しております。
痛みがないむし歯も治療する必要がありますか?
永久歯の場合、歯の表面のエナメル質を超えて象牙質にまで達したむし歯は治療が必要となります。しかし象牙質に達したむし歯でも、しみる等の軽い症状で経過していくことが多く、患者さん自身が強い痛みを自覚するころには、むし歯が歯の中の神経(歯髄)ギリギリか、すでに神経まで達していることが多いので注意が必要です。レントゲン診査等で早めに診断し、象牙質に達したむし歯に対してどのように対応するのか、十分に診査の上、相談しながら対応しております。
乳歯の場合は、年齢や治療に対するお子さんの協力度、萌え代わる永久歯の位置などを考慮し、治療するか、経過をみていくのかご相談させていただいております。
治療にはどのぐらいの時間や回数がかかりますか?
平均的なむし歯の治療の場合、実際にお口を開けていただく時間は、1回30分程度とお考えください。もちろん、麻酔の必要の有無、むし歯の深さや大きさ、治療する本数、治療の方法、アプローチの難しい奥歯などは、もう少し時間がかかる場合がございます。
当院では1回のご予約で約1時間の時間をいただき、説明等も含め時間的にゆとりをもった処置をこころがけております。複数の部位に麻酔が効いている場合には、一度に処置するなど、できるだけご来院いただく回数が少なくなるように努めております。
回数に関しては、治療方法や本数によって変わりますので、治療に入る前に「どのような治療を選択されるか」「どこまで治療するか」が確定していたら、おおよその回数をお伝えすることが可能と思われます。
むし歯治療は痛いですか?麻酔は必ず必要ですか?
できるだけ、痛みのでないように処置をすすめさせていただきます。あらかじめ痛みが予想できる場合には、もちろん麻酔を行ってから、処置を始めます。炎症(痛み)の強い症例(鎮痛剤を服用しても、痛みが残っているような場合)や、下顎の大臼歯などは、麻酔の効果が得られにくい場合もあります。そのような場合には、一旦炎症を抑えてから、後日に処置を行ったり、できるだけ麻酔の効果が得られるような麻酔の方法を行ったりして、処置を行っております。
神経をすでにとっている歯のむし歯や、中高年の方で象牙質に達するようなむし歯でも、麻酔なく処置できる場合もございます。なので、必ずしも麻酔が必要というわけではありません。ただ若年者やお子さんの場合には、同じ大きさのむし歯でも、大人と違い麻酔が必要な症例が多いと思います。
詰め物や被せ物の種類にはどんなものがありますか?保険適応されるのはどれですか?
さまざまな種類がありますが、大きく分けて3つのパターンがあると思います。
①コンポジットレジン(歯に近似した色調)
②セラミック(もっとも歯に近い色調)
③金属(シルバー色やゴールド色)
このうち、保険適応されるのは、①のコンポジットレジンと、③の金属の金銀パラジウム合金(シルバー色)が、もっともポピュラーな治療となります。その他、保険適応外や、最近保険適応になったものなど、さまざまな種類があります。それぞれに特徴や長所と短所がありますので、ご要望をお聞きしご相談の上、症例に適した方法をおすすめしております。
神経を取る治療(根管治療)とは何ですか?どんな時に必要になりますか?
むし歯が大きく(深く)、ズキズキする痛みや、温かいもので痛みが出る場合など、歯の中の神経(歯髄)まで達している場合には、残念ながら痛みを取るために神経を取る治療(根管治療)を行う場合が多いです。この治療は、歯の内部の複雑な根の中の治療になりますので、どうしても回数がかかります。前歯なら根管は1つのことが多いですが、大臼歯の場合、根管が3つまたは4つある場合がほとんどで、しかも細く湾曲しており、術者であるわれわれにとって、非常に難しい治療となります。できるだけ回数を少なく…と心がけておりますが、どうかご理解ください。
また、根管治療を行った歯は、とても脆くなります。歯の色も変色を起こしやすく、大きなむし歯の症例では、根管治療後は、被せもの(さし歯・クラウン)をすることが多いです。もちろん、その歯にむし歯が再発しても痛みを感じないので、ご自分で再発に気付くことも難しいです。さらに、脆くなるので歯の根にヒビがはいったり、歯の一部が欠けたり、ひどい場合には根が割れたり、折れたりもします。なので、できるだけ歯の神経を残す方向で、処置を行うように心がけておりますが(特に若年層の方)、痛みの強い場合には根管治療を選択せざるを得ないのが実情です。
ですので、歯の神経にまで達する前に、きちんと治療する。できればその前の段階から、むし歯があっても進行しないように、むし歯ができないように、しっかりとむし歯予防を行うことが、何より大切だと考えて日々の診療に従事しております。
治療後に痛みや違和感が残ることはありますか?その場合どうすればよいですか?
麻酔をした場合や、治療の直後(当日~数日間)には、何かしら術後の違和感や、咀嚼時の軽い痛みなどが出る場合があります。そのようなことが想定される場合には、必ずお伝えするようにしております。治療した部位(歯や歯ぐき)を、指で押さえたり舌で触ったりせず、食事の際にもできるだけ反対側で咬んでいただき、患部の側では、硬いモノや歯ごたえのあるモノは控えていただけるとありがたいです。
また、次回まで仮の詰め物が入っている場合もございます。その際には、ガムやお餅のような、粘着性の食べ物は控えて頂けるようにお願いいたします。仮の詰め物が取れた場合には、ご連絡いただけますと幸いです。
患部に術後の痛みが出そうな場合には鎮痛剤が出ることもありますので、我慢せず服用していただければ、かなり軽減できると思います。数日、経過してもまだ痛みが強く残る場合にも、ご連絡していただければ…と思います。
子どものむし歯はすぐに治療した方がいいですか?乳歯でも治療が必要ですか?
お子さんのむし歯に対して治療が必要かどうかは、年齢や、治療ができるのか?また、もうすぐ永久歯に萌え代わるのか?によって、変わってきます。わからない場合がほとんどだと思いますので、まずは来院していただき、診察したうえで、ご相談させていただきます。
乳歯でも治療が必要な場合は、もちろんあります。大きなむし歯になれば、かなり痛みを伴うこともありますので、むし歯を作らないことが何よりも大切です。日頃のホームケアと食生活を、ぜひ大人が気を付けてあげてください。小さなころから定期的に、むし歯予防や歯並びの相談に来院してくださるお子さんは、もし治療が必要になっても、スムーズにできることが多いです。ぜひ小さなころから、歯医者さんに連れてきてあげてください。
むし歯を予防するために、毎日どんなケアをすればいいですか?
『食べたら磨く』が、基本になりますが、ちゃんとしたホームケアができている方は、多くはありません。また、その方のむし歯のリスクによって、ホームケアにもいろいろと違いがあります。いろんなご提案ができますので、一度来院していただき、ご相談いただければ…と思います。
食生活などの生活習慣、遺伝的な問題、唾液の質・量など、むし歯のリスクには、いろんな原因が考えられます。基本的には、歯ブラシがしっかりと歯の表面に当たって、汚れを落とせているか?歯と歯の間に残る汚れに対しては、フロスや歯間ブラシ等の補助的なグッズを使用していただくことが、大事になります。その方に適した歯ブラシ(大きさや形状、電動 or 手磨き、当て方や動かし方、時間や回数)や、おすすめの歯磨剤(フッ素の有無)、おやつ・飲み物の指導など、お一人お一人にお伝えしたいことがたくさんあります。
一度治療した歯がまたむし歯になることはありますか?再発を防ぐ方法は?
一度治療しても、もちろんむし歯は再発します。『一生涯持つような治療法は、現在の歯科医学では、残念ながらありません。むし歯治療した歯(部位)ほど、またむし歯になりやすいのですよ』と、よく患者さまにお伝えしております。
治療した部位には、自分の歯の部分と、人工的に補った(治療した)部分の境界面が、必ず存在します。その境界面がピッタリになるように、一生懸命に処置を行いますが、経年劣化したり、その境目から徐々に欠けていったりして、ギャップができ、そこから新たにむし歯が発生することが多いのです。もちろん、別の歯や部位にむし歯ができることもあります。
また、治療が長期に渡ると、しばらくは歯科医院には行きたくないなぁ…と思ってしまうのも、無理のないことでしょう。ですが、予防するには、そこからがスタートラインです。定期的な来院によりむし歯をチェックし、プロのクリーニングを継続し、食生活に気を付けて、地道に毎日のホームケアを続けるしかないのです。なぜ治療が終わったときに、歯科医院では、次の定期健診をオススメするのか?それは、少しでもこの状態をキープしてもらい、むし歯の再発を防いで、あなたの歯を大切に守ってもらいたいからなのです。